NPO小網代野外活動調整会議の活動について

「NPO法人小網代野外活動調整会議」は、神奈川県が所有する三浦半島「小網代の谷」の自然の維持管理作業を、県・三浦市・公益財団法人かながわトラストみどり財団と協働して推進する非営利団体です。

 小網代の谷は、1960年代前半までは、地元の方々が水田や薪炭林として利用していた典型的な里山でした。その後、地域一帯に開発計画が立ち上がり、薪炭林と水田は20年ほどで「手つかずの自然」に戻りました。

 その小網代の自然の大規模リゾート開発が本格化しようとしたのが80年代前半。地元の要望もありましたが、一方で、首都圏唯一の完結した流域生態系である小網代の自然を失うのはあまりに惜しい、とのことから、森の保全を前提とした新しい開発計画をつくり環境教育やエコツアー等観光資源として活用する路を提案する地元市民や学識経験者が集まり、保全活動が始まりました。

 アカテガニ観察(カニパトロール)

 95年には神奈川県が小網代の森の保全方針を表明、2005年には国土交通省・国土審議会が小網代の森=浦の川流域全域を近郊緑地保全地域に指定し、2011年には地域の大半(65ha)が近郊緑地特別保全地区にも指定され、全域70haの保全が確定しました。

 小網代野外活動調整会議(当時任意団体)は、80年代半ばより以上の保全のプロセスを支えた複数の団体からメンバーが集まり、98年5月に組織されました。

 設立と同時に、小網代の森の利活用に関する<基本合意>を確認し、以後、かながわトラストみどり財団とも連携しつつ、これらの共通理解の上に立って小網代の保全活用をすすめる基本活動を継続してきました。

 2001年度以降は、5年間にわたって「かながわボランタリー活動推進基金21」をうけ、県環境農政部緑政課と協働して小網代の森保全のための「花パト」、「カニパト」、「道パト」、「アカテガニビオトープ整備事業」等の各種事業を推進してきました。

 2005年夏にはNPO法人格を取得し、現在は「特定非営利活動法人小網代野外活動調整会議」となりました。

 NPO法人小網代野外活動調整会議は、設立の基盤となった諸団体が新たに形成するネットワークとも連携しつつ、2006年4月の協働事業の終了以後も引き続き神奈川県環境農政部緑政課ならびにかながわトラストみどり財団と協力して、小網代の森保全のための各種事業を推進しています。

 小網代の治水作業  ササの伐採と湿地回復作業  ササの伐採作業

 小網代野外活動調整会議を支えるのは、一般市民や学識経験者で構成される会員スタッフ、そしてこれを管理作業等で応援する市民、学生ボランティアです。毎年数百万円に達する現地における管理作業等の経費は、かながわトラストみどり財団からの交付金、各種助成金、会員等からの寄附、各種法人等からの委託事業等によって確保されています。

 2014年7月、小網代の谷の一般開放にいたる行程で、小網代野外活動調整会議が、行政ならびにかながわトラストみどり財団と連携し、担当した最大の作業は、小網代の森の自然回復です。

 1970年代に農業活動が停止され、以後40年近く手入れのない状態が続いた浦の川流域の湿地帯は乾燥化してササ原に変貌、斜面の明るい林は暗い常緑樹林に遷移し、生物多様性の大規模な喪失、土砂崩壊の危険性が迫っていました。

 小網代野外活動調整会議は、神奈川県の許可を受け、2010年より堰等の設置による流れの水位の上昇、数千㎡規模のササ原の抜開、表土を喪失し岩盤が露出して崩壊の危機の迫った斜面の常緑樹林の間伐等の作業を進め、3ha規模で湿地帯を回復し、斜面の林床と川面に光を戻し、生物多様性回復の基盤を整備しました。

生きもの観察とボランティア  企業との連携

 一方、神奈川県は、2013年から2014年にかけ、小網代の谷を縦断する階段、散策路、ボードウォーク、休息デッキ=テラスを整備。また、小網代保全への全面的な協力を進める京浜急行電鉄からは、企業CSRとして、河口部に見事な散策路と観察デッキがプレゼントされました。

 2014年7月20日、小網代の谷は環境学習の場として、また市民の自然体験の場として、一般開放されました。私たち小網代野外活動調整会議は、一般開放後も、神奈川県、三浦市、かながわトラストみどり財団と連携・協働し、引き続き小網代の谷の自然の維持再生作業、全域の生物調査、有償無償の観察会、訪問者の対応などを担ってまいります。